はじめに
クラウド移行の加速、オフィス統合、データセンターのリプレース——さまざまな理由で サーバールームの撤去 が必要になるケースが増えています。
サーバールームの撤去は、通常のオフィス家具の処分とは比較にならないほど 複雑で、リスクが高い 作業です。データ漏洩、法令違反、高額な廃棄費用——いずれも、事前の準備不足が原因で発生します。
本コラムでは、サーバールーム撤去の 全工程 を実務担当者の視点で解説し、見落としがちな注意点とコスト削減のポイントをお伝えします。
1. 撤去前に確認すべき3つのこと
(1) 資産リストの作成
まず最初にやるべきは、サーバールーム内のすべての機器を 台帳として一覧化 することです。
| 記録項目 | 例 |
|---|---|
| 機器種別 | ラックマウントサーバー |
| メーカー・型番 | Fujitsu PRIMERGY RX2540 M5 |
| シリアルNo. | XXXX-YYYY-ZZZZ |
| 設置場所 | ラックA-3U |
| 所有区分 | 自社所有 / リース / レンタル |
| 内蔵ディスク | SAS HDD 600GB × 8本(RAID6) |
| 導入年月 | 2020年4月 |
| 状態 | 稼働中 / 停止済 / 故障 |
重要: リース品・レンタル品は返却が必要です。廃棄してしまうと違約金が発生します。必ず所有区分を確認してください。
(2) データバックアップの完了確認
撤去前に、必要なデータがすべて 別の環境にバックアップ済み であることを確認します。
- アプリケーションデータ
- データベース
- ログファイル
- 証明書・ライセンスキー
- 設定ファイル(ネットワーク機器の config 含む)
クラウド移行の場合、移行完了後も 最低1ヶ月は旧環境を維持 するのが安全です。
(3) 関係者への事前連絡
- 社内IT部門: サービスの停止タイミングの調整
- ビル管理会社: 搬出経路、エレベーター使用、養生の確認
- リース会社: リース品の返却手続き
- ネットワーク回線業者: 回線の解約・撤去手続き
- 保守ベンダー: 保守契約の解約
2. データ消去 — 最重要工程

サーバールーム撤去において 最もリスクが高い工程 がデータ消去です。サーバーには顧客情報、社内機密情報、個人情報など、漏洩すれば企業の存続に関わるデータが格納されています。
サーバー特有の注意点
RAID構成の解除
サーバーの多くは RAID(Redundant Array of Independent Disks)で構成されています。RAIDは複数のディスクにデータを分散・冗長化する技術であり、1本のディスクだけを消去しても意味がありません。
| RAID | 消去時の注意点 |
|---|---|
| RAID 0 | 全ディスクにデータが分散。全本消去必須 |
| RAID 1 | ミラーリング。両方のディスクを消去必須 |
| RAID 5/6 | パリティ付きストライピング。全本消去必須 |
| RAID 10 | ミラー+ストライプ。全本消去必須 |
結論: RAIDの場合、構成ディスクをすべて消去 する必要があります。
SSD搭載サーバーの増加
近年のサーバーは NVMe SSD を搭載するものが増えています。SSDは従来のHDDとは異なる消去方式が必要です。
- HDDの場合: ソフトウェア上書き消去 or 磁気消去 or 物理破壊
- SSDの場合: ソフトウェア消去(Secure Erase / Crypto Erase) or 物理破壊
- 混在の場合: それぞれ適切な方式で消去
SSDに対して磁気消去は 無効 です。SSDはフラッシュメモリに電荷で記録するため、磁場を照射しても効果がありません。
ネットワーク機器の設定情報
見落としがちなのが ネットワーク機器のコンフィグ情報 です。
- ルーター/ファイアウォール: VPN設定、ACL、NAT設定にIPアドレス・認証情報が含まれる
- スイッチ: VLAN設定、SNMP community string
- 無線LANアクセスポイント: SSID、パスフレーズ、RADIUS設定
すべてのネットワーク機器を 工場出荷状態にリセット してから撤去してください。
データ消去証明書の取得
企業のコンプライアンス要件として、データ消去証明書 の取得が求められるケースが大半です。
証明書に含まれるべき情報:
- 消去対象機器のシリアル番号
- 消去方式(ソフトウェア/磁気/物理破壊)
- 消去規格(NIST 800-88 等)
- 消去日時
- 実施者・実施会社
- 消去結果(成功/失敗)
3. 搬出作業の実務
搬出の順序
効率的な搬出の順序は以下の通りです:
- ケーブル類の撤去(LANケーブル、電源ケーブル、光ファイバー)
- 小型機器の取り外し(スイッチ、ルーター、KVM)
- サーバー本体の取り外し(上段から順に)
- UPSの取り外し(重量注意:大型UPSは100kg超)
- ラック本体の解体・搬出(最後に)
搬出時の注意点
- 重量: ラックマウントサーバーは1台20〜40kg、42Uラック本体は80〜120kg。台車・エレベーターの耐荷重を確認
- 養生: 床・壁・エレベーター内の養生が必要。ビル管理会社の指示に従う
- 搬出時間: 多くのオフィスビルは 平日夜間・土日のみ 搬出可能
- 静電気対策: 機器の取り外し時は静電気防止リストバンドを使用(買取品の場合)
UPSバッテリーの取り扱い
UPS(無停電電源装置)内蔵のバッテリーは 特別管理産業廃棄物 に該当する場合があります。
- 鉛蓄電池: 有価物として売却可能(鉛の相場に連動)
- リチウムイオン電池: 発火リスクがあるため、専門業者に委託必須
- ニッケル水素電池: 産業廃棄物として適正処理
バッテリーの取り外しは感電・発火リスクがあります。必ず専門業者に依頼してください。
4. コスト削減のポイント
買取可能な機器を見極める
サーバールームの機器の中には、意外と高値で買い取ってもらえるもの があります。
| 品目 | 買取の目安 | 条件 |
|---|---|---|
| ラックマウントサーバー | 10,000〜100,000円 | 製造7年以内、動作品 |
| NAS/ストレージ | 5,000〜50,000円 | 製造5年以内 |
| L3スイッチ | 3,000〜30,000円 | 現行モデル |
| ファイアウォール | 5,000〜40,000円 | ライセンス有効期間内 |
| UPS(バッテリー新品) | 5,000〜20,000円 | バッテリー交換済み |
| サーバーラック(42U) | 5,000〜15,000円 | 標準規格、状態良好 |
| SASハードディスク | 500〜3,000円/本 | 消去済み、動作確認済み |
廃棄費用の目安
| 品目 | 1台あたりの廃棄費用 |
|---|---|
| ラックマウントサーバー(1U) | 3,000〜5,000円 |
| ラックマウントサーバー(2U〜4U) | 5,000〜10,000円 |
| タワーサーバー | 5,000〜8,000円 |
| UPS(小型) | 3,000〜5,000円 |
| UPS(大型・100kg超) | 10,000〜30,000円 |
| 19インチラック(42U) | 10,000〜20,000円 |
| ネットワーク機器 | 1,000〜3,000円 |
買取で廃棄費用を相殺する例
50台規模のサーバールーム撤去の場合:
| 項目 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|
| サーバー買取(比較的新しいもの) | 10台 | +300,000円 |
| NAS買取 | 2台 | +40,000円 |
| L3スイッチ買取 | 5台 | +50,000円 |
| 古いサーバー廃棄 | 40台 | -240,000円 |
| ラック廃棄 | 5本 | -75,000円 |
| UPS廃棄 | 5台 | -40,000円 |
| ケーブル・その他 | 一式 | -30,000円 |
| データ消去費用 | 50台 | -100,000円 |
| 合計 | -95,000円 |
買取がなければ 485,000円 の費用が、買取との組み合わせで 95,000円 に。約80%のコスト削減 が実現できます。
5. よくあるトラブルと対策
トラブル1: リース品を誤って廃棄
対策: 資産リスト作成時に所有区分を必ず確認。リース品にはシールを貼って区別する。
トラブル2: データ消去の不備
対策: 消去証明書を1台ごとに取得。物理破壊の場合は破壊写真も撮影。
トラブル3: 搬出経路の問題
対策: 事前にビル管理会社と搬出経路・日時を調整。大型機器(ラック、大型UPS)は分解して搬出する場合も。
トラブル4: 想定外の費用
対策: 事前に詳細な見積を取る。「一式○万円」ではなく、品目ごとの単価を確認。
6. 産廃見積.comでサーバールーム撤去を一括見積
サーバールームの撤去は、サーバー、ネットワーク機器、UPS、ラック、ケーブル と、さまざまな種類の機器を同時に処分する必要があります。それぞれ別の業者に見積を取るのは非常に手間がかかります。
産廃見積.com なら、すべてを 1回の見積依頼で完結 できます。
産廃見積.comでできること
- 買取と廃棄の同時見積: 新しい機器は買取、古い機器は廃棄。最適な組み合わせを提案
- データ消去対応: ソフトウェア消去・磁気消去・物理破壊の3方式に対応。証明書を発行
- マニフェスト発行: 産業廃棄物管理票の交付に対応
- 全国対応: 47都道府県どこからでもご依頼可能
- 写真で簡単見積: ラックの全景写真と機器リストをアップロードするだけ
ご利用方法
- 無料会員登録
- 「買取」と「廃棄」をそれぞれ見積依頼
- 機器リスト(品目名・数量)と写真をアップロード
- 担当者から最適な見積をお届け
まとめ
サーバールーム撤去を成功させるポイントは:
- 事前準備を徹底する(資産リスト、バックアップ、関係者調整)
- データ消去を最優先にする(RAID全本消去、SSD対応、ネットワーク機器初期化)
- 買取を最大限活用する(新しい機器は買取でコスト相殺)
- 許認可を持つ業者に依頼する(マニフェスト発行、証明書取得)
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